自分の経験からの推論だが、初めて煙草を吸った時に、美味いと思う人はほぼいないと思う。未成年が煙草を初めて吸う時ってのは、背伸びして大人のふりをしてみたかったり、格好をつけたかったり、色々理由はあるだろうが、少なくとも煙草がうまいからと言って、吸い始める人はいない筈。ただ、そうやって吸っていると、いつの間にかニコチン中毒が成立してしまう。一端中毒が成立してしまうと、血中ニコチン濃度が下がってくると、様々な症状が噴出してくる。朝起きたての一服が美味いのも、長い会議の後の一服が美味いのも、すべて禁断症状のなせる技であり、安らぎの一服は、煙草の積極的な利点ではなく、あくまで薬物投与による禁断症状の軽減(消失)に対する感想だと思う。どんなに煙草が有害だと理解しても、そう簡単にやめられない。医者でさえ、色々理由をつけて、やめられないでいるのは、中毒だからです。私も、この中毒からの離脱に何年もかかった苦い思い出があります。
  数々の栄光に輝く清原君が、覚醒剤に手を染め、結果として全てを失って有罪判決を受けたのだが、彼にどれほどの責任があるのだろうか。彼の一番最初の一服はどんな状況で行われたのだろう?煙草と違って、最初の一服がすべてを決定しまいかねない強力な薬理作用を有する覚醒剤。彼みずから、ある日覚醒剤が欲しくなって、何処からか探してきて一服したとは到底思えないのだ。あんな風貌だが、多分精神的には純粋な彼に、また、プロ野球の歴史に残る活躍をしてきた結果、莫大な資産を形成しつつあった彼に、薬を持って近づいた奴がいるはずでは。どんな形であれ、最初に一服をやらせてしまえば、あっという間に泥沼に引きずり込める。気がつけば、莫大な資産もあっという間に薬代に消えてしまい、すべて失い用済みになった段階で今回の逮捕。
 彼も途中、死ぬほど後悔し、なんとか立ち直ろうとしたのだろうが、そんなもの藥の薬理作用の前には無力であって、彼が嘘をついていたとか、ファンを裏切ったとか言ってもあまり意味もない気がする。全ては最初の一服が悪いのだ。そんな観点で眺めると裁判でさえ、茶番に思えてくる。
 最初の一服は、どのようにして行われたのだろう・・・。そして、今も、様々な状況で最初の一服が行われている。取り締まるべきは、ここであって、中毒患者の苦しみをバッシングしても意味は無い。