Hさん

Hさんがやってきた。

父が大阪で開業したのは、昭和40年頃。Hさんは、多分その頃、何故か家によく出入りしていた。ちょっとガラの悪そうな雰囲気の人だったような。このHさんが、何十年ぶりかで、受診された。面影は十分残っているが、かつてのちょっと怖いイメージは消えている。老人にありがちな、鼻涙管狭窄が原因の流涙で、専門の病院を紹介しようか・・と言うと、あまり気にならないから大丈夫だと。悪化するか、手術希望ならまて来てね・・と言って診察は終了した。(僕の顔を見に来てくれたのかなあ・・・)

ただ、何故このHさんが、我が家に出入りしていたのか、気になったので、ちょっと聞いてみたら・・・

元々は患者だったが、京都から出てきて開業したてだった亡き父に、このあたりの地理がわからないので、車で案内してほしい。親父は酒を飲むので、夜は運転できないから、お前が、酒を飲まずに運転して、地理を教えろなどと言われたらしい。むちゃくちゃや・・と笑いながら教えてくれた。患者さんとそんな関係を作ってしまうなんて信じられないが・・。ただ、Hさんに子供ができた時(女の子、今は50歳を越えているらしい)、自分には、男二人しか子供がいないので、その女の子の名前は私が付けるといって、名付け親になったらしい。今はその女性にも子供(孫)ができて、今は看護師なっているとか・・。

 

 Hさんが、帰った後、あの頃の、ちょっとやんちゃな感じの顔が蘇ってきた。うるっとくるほど懐かしい・・

 

 それにしても、親父は各分野に一人、決まった人を見つけ、死ぬまでその人と付き合っていたような気がする。Hさんの担当分野はよくわからないままだが・・

  1. 大工:N原さん
  2. 水道:A馬さん
  3. 自動車:U田さん
  4. タクシー:I坂さんか日本タクシー
  5. 電化製品:元ヒマツデンキの白川さん
  6. 旅行:N田さん
  7. 警察:ゲンさん
  8. 問屋:ニワさん
  9. 芸者:豆ちゃん
  10. ラウンジ:ろんぽあん
  11. 芸人:平川さん
  12. 酒屋:為川さん
  13. リゾートホテル:中田、浅利
  14. 眼鏡:春木
  15. ホテル:東洋ホテルの孫野さん?