山根酒造場は、幻の米“強力”を復活させた酒蔵で、米の旨みを生かした、芳醇で伸びやかな食中酒を醸すのが上手な、中国地方きっての実力派。鳥取県にあり、強力を復活させたのは、この蔵の代表の山根常愛氏だそうです。『上原浩』氏は、無二の親友と言われていました。鳥取県で飲み歩く時はいつも一緒だったそうです。大変残念ですが、この山根常愛氏も上原氏も相次いで亡くなられましたが、その蔵の酒が不味いはずがないという、強烈な先入観とともに味わいました。今回は、平成16年BYの純米吟醸『伝承強力』です。アルコール分15.7度、使用米/強力、精米歩合/50%、日本酒度/+6、酸度/1.75、酵母/協会9号、但馬杜氏の中西円吉氏の酒です。
 雑誌ダンチュー3月号 「今年の本命、純米酒」20選選定酒に選ばれていたようで、『グラスに注いだ時に立ち上がる香りは控え目だが、口に入れた時に弾けるように米の旨味が広がる。奥行きが深く噛み締めえれば噛み締めるほど自然に「旨い」という言葉が出てきます。』要するに、控えめな香、旨みたっぷり、シャープな切れ味。3拍子揃った上手い酒の典型かな・・昨日、口開けしたばかりなので、どう変化するか楽しみです。
山根酒造場の強力についてのコメント、
 「今蘇る幻の酒米「強力(ごうりき):昭和20年代まで、鳥取に強力という酒米がありました。酒造家垂涎の大粒米でしたが、稲穂は人の背丈ほど伸びるために栽培が難しく農業の変遷とともに強力はこの地から姿を消しました。もう一度、あの秋上がりの味に出会いたい。かすかな味の記憶を辿りつつ私たちの強力復活への模索は始まりました。そして平成元年秋、鳥取大学農学部で原酒保存されていた一握りの種子をもとに、強力は三十年ぶりに復活を遂げたのです。現代に蘇った幻の酒米強力米。丹精込めた吟醸造りによって、強力ならではの重厚な力強さと切れ味に、より深いコクと。洗練された旨味が加わりました。一握りの籾に賭けた男たちの心意気を、是非ともご賞味ください。 日置桜 蔵元敬白」