今日は、今は亡き、伊藤勝次氏と金田一政吉氏が1992年度に醸し、14年間低温熟成されていた逸品、大七自然酒生酛純米古酒です。1万本限定品だそうです。いつも通り、常温で一杯、その後、ぬる燗でいただきました。十分すぎる味わいがあるのに、べたっとせず、するっと入ってくるんです。常温で呑むと、僅かに古酒独特の熟成香がしますが、気にならない程度。絶品です。『ぬる燗につけると、肌理の細やかさと幅のある味わいが柔らかくまろやかにするするとお酒が入っていきます。少し酸味や苦味が出てきますが、アクセントになっています。』こんなに上手く表現できませんが、そんな感じでしょうか・・
私の亡き父は大正14年生まれですが、この伊藤勝次氏は、15年生まれ。私の父の世代です。恐るべき頑固さ(実直さ)で、生酛作りに励んでおられたのだと想像に難くないです。親父の命日や誕生日には、是非、酌み交わしたいです。頑固だった亡き父と・・・

スペック
使用米:二本松産華吹雪(山田錦でも雄町でもなく、地元の華吹雪です)
精米歩合:69%(低精白だから、熟成に耐え、旨みたっぷりなのでしょうか・・)
日本酒度:+2、酸度:1.9、アルコール分:15度
酵母大七酵母(過酷な環境に耐えて生き残った頑強な酵母?)

伊藤勝次プロフィール
大正15年 岩手県内川目村に生れる
昭和16年 宮城県中新田町「鳴瀬川」中勇酒造店に酒造工として入社
昭和19年 福島県二本松町「大七大七酒造に酒造工として入社
昭和31年 同社の杜氏となる
昭和54年 同社の醸造部長兼杜氏となる
平成 3 年 日本醸造協会から、醸造技能者表彰を受ける
平成 4 年 福島県知事から、卓越技能者表彰を受ける
平成 8 年 惜しまれつつ逝去