岡田は天才

 天才岡田が育てたチームが、ひとつの頂点を迎えつつあるように思います。どんなに勝っていても、試合のポイントのひとつひとつにプロとしての眼を向け、反省点を見出し対策を立てる。この積み重ねは大きいです。決して無謀なことはせず、理屈に裏付けられた体制作り。あらゆるポジションを複数の人間が競いあい、一人が複数のポジションをこなして、万が一に備える。選手ひとりひとりに気を配り、疲れたら休ませる。あるいは、骨折しても出続けることを許容する。星野がカッコよく阪神を通り過ぎ、当初、岡田の将来じゃなくて、岡田に率いられた阪神の将来を非常に危惧したファンは多かったと思います。あの顔、あの言葉、乏しいパフォーマンス・・・・星野の方が100倍カッコいい。でも、彼が歩んできた地道な経験を彼は血肉としています。
 95年に引退した後、96年にオリックス二軍助監督兼打撃コーチ。98年、阪神の二軍助監督兼二軍打撃コーチ。99年、阪神二軍監督兼二軍打撃コーチ。00〜02年、阪神二軍監督で、2年連続日本一に。現役引退後8年目の03年、一軍内野守備走塁コーチとして陽のあたる場所に。そして04年星野が体調不良??で突然の引退で、第30代阪神監督に。
 彼が選手として脚光を浴びていたのは80年代。90年代になって日陰の存在に・・・。その後歩み続けた陽のあたらない場所で、彼が蓄えてきたものが、血肉となり、今の彼を創り上げたと言えます。ほぼ同じ時期に活躍した江川・掛布がその後歩んだ道と正反対。彼らの解説がまま事に見えるほど、レベルが上がった岡田の野球は、今、頂点を迎えつつあるのかもしれません。
 実は同じ年である彼にエールを送り続けます。


 少し調べましたが、プロ野球が始まった1936年から3年間を除く歴代監督の勝率です。歴代監督といっても、すぐに辞めた人は除いて、最低2年以上真面目にやった人です。岡田は昨年までの3年間で、551.これは星野の546を上回り、少し反則ですが、今年の成績を加味すると569.これは松木謙二郎(558)を越え、歴代トップの藤村富美男(576)に迫る記録です。松木・藤村は、ともに1950年代、特に藤村は、松木監督の時、4番兼助監督、弟の隆男がエースだったりして、まさに藤村時代。この頃の強さに近いとすれば、今の岡田の凄さがわかってもらえるでしょうか。今、我々は阪神の歴史を飾る一頁を目撃しているのです。